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2022年7月28日 (木)

樋口恵子「老いの福袋 あっぱれ! ころばぬ先の知恵88」中央公論新社

今回は婦人公論に掲載された詩人でエッセイストの白石公子氏の書評をそのまま抜粋転載させていただきます。

 

本書は御年88歳、ヨタヘロ期真っ最中の著者に降りかかる「老いるショック」の数々と、それを乗り越え、やり過ごすための知恵と工夫を綴った痛快・爆笑エッセイ集。前作よりもダジャレ、ぶっちゃけ度が増しているような気がする。なにしろ、第1章の「ローバは一日にしてならず」のトップを飾るのは、駅の和式トイレでの踏んだり蹴ったりエピソードなのだ。著者がいつものように「スッキリした気分で立ち上がろうとしたらーーなんと、た、立てない!立ち上がれないのです!」。その後の息も絶え絶えに生還した様子は「そこまで書かなくても」と心配してしまうほど。他にも、昨日できたことが突然できなくなる「老いるショック」に見舞われる。しかしトイレで立ち上がれなくなっても、はいつくばっても、ただでは起き上がらない著者のたくましさが本書の読みどころだ。必ず、改善点、別の方法、言葉の教訓を見つけて立ち上がる。そして社会に向けて提案、発信しているのだ。「社会」と関わりながら、どのように「ヨタヘロ期」を過ごすべきか、著者が身をもって実況中継しながら教えてくれている。

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